AI後進国ニッポン ビジネス

失敗した人間より、何もしなかった人間の方が評価される。

これは意志の問題じゃない。インセンティブの設計の問題だ。

「うちの会社、AIの話は出るんですよ。
でも結局、毎回『もう少し様子を見よう』で終わって」

この話を、色んな会社の人から聞く。
不思議なのは言っている本人も、おかしいとわかっていることだ。

わかっていて、やめられない。
それは意志の問題じゃない。構造の問題だ。

「様子見」が最適解になる組織の仕組み

なぜ様子見が選ばれ続けるのか。シンプルな理由がある。

日本の多くの組織において
失敗した人間と、何もしなかった人間では、
何もしなかった人間の方が評価が高い。

試して失敗した人間は、責任を取らされる。
何もしなかった人間は、責任を取らされない。

この非対称が存在する限り、合理的な人間は「試さない」を選ぶ。

これは個人の問題じゃない。インセンティブの設計の問題だ。

稟議という仕組みが、スピードを殺す

新しいことを始めるためには、稟議を通す必要がある。
稟議を通すためには、成功の根拠が必要だ。
成功の根拠を作るためには、前例が必要だ。
前例を作るためには、始める必要がある。

この円環を、誰も破れない。

しかも稟議は、反対した人間の責任が問われない仕組みだ。
反対するコストがゼロで、賛成して失敗したときのコストが高い。
全員が反対に傾くのは、当然の結果だ。

「コンセンサス文化」の罠

全員の合意を取ることが重視される。
一人でも反対がいると、進まない。

これは丁寧さの文化だ。
でもAIの時代において、これは致命的に遅い。

AIのツールは、半年で別物になる。
全員の合意を取っている間に、使おうとしていたツールが時代遅れになる。

中間管理職が一番苦しい

上からは「AIを活用しろ」と言われる。
現場からは「忙しくて余裕がない」と言われる。
失敗したときの責任は、自分が取ることになる。

積極的に動く理由が、ない。

一つの失敗事例が、組織全体の「やっぱり様子見でいい」という空気を作る。

海外企業との決定的な違い

アメリカのスタートアップが速いのは、技術力でも資金力でもない。
失敗を前提に設計されているからだ。

試して、失敗して、学んで、また試す。
このサイクルを回すことが、仕事として認められている。

失敗した人間が評価される文化ではなく
試さなかった人間が評価されない文化だ。

では、何が変わればいいのか

制度を変えろ、文化を変えろそう言うのは簡単だ。
でも現実的に、今日から変えられることがある。

  • 小さく試す。
  • 失敗を報告するときに、学びを一緒に報告する。
  • 試した人間を、結果に関わらず承認する。

これを一人の管理職がやり始めるだけで、チームの空気は変わる。

制度が変わるのを待たなくていい。
あなたのチームだけ、先に変わればいい。

様子見をやめる理由は、会社が変わったからじゃなくていい。
あなたが変わったから、でいい。

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