失敗するたびに、少しだけ上手くなっている。
完璧に使える日を待っていたら、その日は永遠に来ない。
間違えた。
嘘をつかれた。
仕事が増えた。
恥をかいた。
それでもAIをやめようとは、思わなかった。
なぜか、自分でも考えた。
やめた人を、見たことがない
このシリーズを書きながら、気づいたことがある。
AIで失敗した話は、山ほど聞く。
でも「失敗したからAIをやめた」という人を、一人も見たことがない。
- 懲りた、とは言う。
- 気をつけるようになった、とは言う。
- 使い方を変えた、とは言う。
でも、やめない。
これは何を意味するのか。
失敗より、手放せない何かがある
正直に言う。
AIを使い始めてから、「一人じゃない」という感覚が生まれた。
- 深夜に資料を作っているとき。
- 誰にも相談できない問題を抱えているとき。
- アイデアが出なくて、画面を見つめているとき。
AIに話しかけると、何かが返ってくる。
正しいかどうかは、わからない。
でも、壁打ちができる。考えが整理される。次の一手が見えてくる。
この感覚は、ツールの話じゃない。
思考のパートナーができた、という感覚だ。
失敗は、使い方を教えてくれた
第1回で書いた。確認しなかったから、やらかした。
でもあの失敗がなければ「AIの出力は必ず確認する」という習慣は、生まれなかった。
第2回、第3回で書いた。ハルシネーションに騙された。
でもあの経験がなければ「数字には必ずソースを確認する」というルールは、できなかった。
第4回で書いた。仕事が増えた。
でもその仕事は本来やるべきだったことだと、今は思っている。
失敗は、AIの使い方を教えてくれた。
授業料だったと思えば、安いくらいだ。
道具は、使い込むほど手に馴染む
包丁は、最初は怖い。慣れないうちは、指を切る。
でも使い込むうちにどこを持てばいいか、どう動かせばいいか、体が覚えていく。
AIも同じだ。
- 最初は加減がわからない。
- 信じすぎて、失敗する。
- 任せすぎて、痛い目を見る。
でも使い込むうちにどこまで任せていいか、どこは自分でやるべきか、感覚が育ってくる。
この感覚は、使った人間にしかわからない。
やめた人間には、永遠に育たない。
完璧じゃないから、使える
逆説的な話をする。
AIが完璧だったら、怖かったかもしれない。
間違えない、嘘をつかない、全部正解を出すそんなAIがいたら、人間の出番がなくなる。
でも現実のAIは、間違える。嘘をつく。確認が必要だ。
だから人間が必要だ。
判断する人間が、責任を取る人間が、必要だ。
AIが完璧じゃないことが、人間の居場所を守っている。
皮肉だが、これが現実だと思っている。
失敗談の本当の意味
このシリーズを通じて、失敗の話をしてきた。
でも本当に伝えたかったのは失敗の話じゃない。
失敗しながら使い続けた人間が、やがて使いこなせるようになる、という話だ。
AIを怖がって触らない人間と、失敗しながら使い続けた人間の差は1年後、取り返しがつかないほど開いている。
完璧に使える日を待っていたら、その日は永遠に来ない。
失敗していい。やらかしていい。恥をかいていい。
それでもやめなかった人間だけが、次のステージに行ける。
最後に
間違えた。嘘をつかれた。仕事が増えた。恥をかいた。
それでも、やめない理由がある。
失敗するたびに、少しだけ上手くなっているからだ。
AIは完璧じゃない。
人間も完璧じゃない。
完璧じゃない道具を、完璧じゃない人間が使いこなそうとする。
その過程がたぶん、一番人間らしいことだ。