「AI担当」を作った会社の、その後。
AIを誰かに任せた瞬間、全員が「自分には関係ない」と思い始める。
社内にAIを広めるため、専任担当を置いた。
肩書きは「AIプロモーター」。
半年後、その人は社内で一番孤独だった。
「AI担当」が直面する現実
まず、誰も協力しない。
現場は忙しい。
「AIを使ってみてください」と言っても、
「今それどころじゃない」と返ってくる。
上は期待する。
「早く全社に広めてくれ」と言うわりに、
予算も権限も、思ったより出てこない。
板挟みのまま、時間だけが過ぎる。
そして半年後——
「AI担当、何やってるの?」という空気が漂い始める。
なぜAI担当は孤独になるのか
構造の問題だ。
AIを広めるためには、現場の業務を変える必要がある。
でも業務を変える権限は、AI担当にはない。
提案はできる。でも決定できない。実行できない。評価もされにくい。
成果が見えにくい仕事を、権限なしでやる。
これは、優秀な人間ほど嫌がるポジションだ。
「AI担当」が機能する会社と、しない会社
違いは一つだ。
経営者が本気かどうか。
AI担当に権限を与え、失敗を許容し、成果を正しく評価する。
この環境があるかどうかで、同じポジションでも全然違う仕事になる。
うまくいっていない会社のAI担当は、
社内の「AIのよろず相談窓口」になっている。
うまくいっている会社のAI担当は、
組織の変わり方そのものを設計している。
本当に必要なのは「AI担当」じゃない
AIを特定の誰かに任せた瞬間、
他の全員が「自分には関係ない」と思い始める。
AI担当がいるから、自分は使わなくていい。
AI担当に聞けばいい。
AI担当が何とかしてくれる。
これは、DX推進室を作った会社が10年前にやった失敗と、
まったく同じ構造だ。
AIは、担当者が広めるものじゃない。
一人ひとりが、自分の仕事の中で使い始めるものだ。
それでも、必要な会社はある
全否定したいわけじゃない。
組織が大きくなるほど、誰かが旗を振らないと何も動かない。
ただしゴールは、自分が不要になることだ。
全員がAIを使いこなすようになったとき、
AI担当という役職は消える。
消えることを目標にできる人間だけが、
このポジションをやるべきだ。